アンカー維持・管理
SAAMシステムを利用して、のり面の健全性を評価します。
アンカーは、斜面、構造物の安定化を図る目的で用いられます。
1957年(昭和32年)に日本に導入されて以来、すでに60年以上が経過し、アンカーの老朽化あるいは豪雨や地震のような外力の影響によって性能低下が確認されています。
アンカーの維持管理を行う場合、のり面に施工された各アンカーの残存引張り力を数多く調査し面的に評価する必要があります。
弊社では、小型軽量なSAAMシステムで、迅速に数多くのアンカーに対してリフトオフ試験を実施して、効率的にアンカー緊張力の面的調査を行い、アンカーのり面の健全性を評価します。また、評価結果をもとに安全かつ経済的で効果的な維持管理手法を提案します。
私たちにできること
What we can do
- 01
アンカーの維持管理に関する技術の向上
弊社は合同会社アンカーアセットマネジメント研究会の会員です。各組織の活動を通して、技術の向上に取り組んでいます。
- 02
SAAMジャッキを使用
小型軽量のSAAMシステム(NETIS:SK-070009-V)により、効率的に数多くのアンカーに対してリフトオフ試験を実施します。
- 03
アンカー緊張力を視覚的に把握
SAAMシステム用いたリフトオフ試験から求まった残存引張り力分布図、ならびにその他の維持管理情報と合わせてアンカーのり面の健全性を評価します。
- 04
適切な維持管理手法の提案
健全性評価結果をもとに、安全かつ経済的で効果的なアンカーのり面の維持管理手法を提案します。
業務内容
Our Services
外観調査
アンカーのり面・アンカー頭部・受圧板等の付帯構造物について、打音点検を含む近接目視で変状の有無や状況を確認します。
アンカー頭部状況(遊離石灰の湧出例)
アンカー頭部外観調査
FAQ
外観調査についてのよくあるご質問
- 1.試験本数はどれくらい行えばいいのでしょうか。
- 基本的には対象となるアンカー施工範囲の全数を対象に実施します。
- 2.どのような項目について調査するのですか。
- 頭部保護工の浮き・破損,風化・劣化、湧水、受圧板の変形・沈下・破損,風化・劣化、テンドンの飛び出しなどについて調査します。
露出調査
頭部キャップや頭部コンクリート等の保護具等を取り外し、防錆材がある場合は除去してアンカー頭部定着部材の状態を確認します。
頭部キャップ取外し
余長の長さ測定
FAQ
露出調査についてのよくあるご質問
- 1.試験本数はどれくらい行えばいいのでしょうか。
- 健全性判定で健全性調査が必要とされたアンカーと、それを除いた本数の10%かつ5本以上が目安です。
ただし、外観調査で全本数の20%以上に変状が見られる場合は、実情に応じて試験本数を増やすことが望ましいとされています。外観調査結果を踏まえた適切な調査箇所をご提案します。
- 2.試験後の保護はどのようにするのですか。
- 原則として原状復旧します。確認した錆は研磨するなど頭部の清掃を行った上で適切な防錆処理(防錆油の充填)を行い、頭部キャップを設置します。
リフトオフ試験
既定着アンカーの残存引張り力を測定する方法のうち、定着具やテンドン余長にジャッキ(SAAMジャッキ)を設置して載荷することで、定着具が支圧板から離れ始めたときの荷重を測定し、アンカー残存引張り力を求めます。
SAAMジャッキ設置
リフトオフ試験
FAQ
リフトオフ試験についてのよくあるご質問
- 1.試験本数はどれくらい行えばいいのでしょうか。
- 健全性判定で健全性調査が必要とされたアンカーと、それを除いた本数の5%かつ3本以上(グラウンドアンカー維持管理マニュアル:2020.9)あるいは,施工アンカーの5%〜10%かつ5本以上及び点検にて健全性調査が必要と判定されたアンカー。ただし,施工本数が10本以下の少数の場合は3本以上(SAAMシステムを用いた既設アンカーのり面の面的評価マニュアル(案)H30.1)が目安です。頭部詳細調査(外観調査および露出調査)結果を踏まえた適切な調査箇所をご提案します。
- 2.SAAMシステムによるリフトオフ試験を実施する際、クレーン等による搬入・撤去や足場の仮設は必要ですか。
- SAAMジャッキは小型・軽量のため、クレーンでの搬入・撤去や足場仮設の必要がなく,迅速に数多くのアンカーに対してリフトオフ試験が実施できます。
- 3.SAAMジャッキのレンタルや販売はしていますか。
- レンタルや販売はしていません。SAAMジャッキの使用は、合同会社アンカーアセットマネジメント研究会のフランチャイズ会員に限られます。弊社は研究会の会員です。
- 4.リフトオフ試験を実施する際に、道路通行規制は必要ですか。
- SAAMシステムの場合は原則として道路通行規制は必要ありません。
- 5.どんなアンカーでも試験が出来ますか。
- アタッチメントの変更により、ナット定着方式アンカーだけでなく、テンドン余長が十分(約7cm以上)であれば、クサビ定着方式アンカーも試験が可能です。
- 6.リフトオフ試験を実施するために必要な資格等はありますか。
- 特別な資格は必要ありません。弊社では,合同会社アンカーアセットマネジメント研究会主催の技術講習や勉強会、意見交換会に参加して最新の知見・技術を導入しています。
アンカーのり面の健全性調査
現地踏査、頭部詳細(外観調査,露出調査)調査、リフトオフ試験結果に基づいて、アンカーのり面の健全性調査を行います。
残存引張力分布図
アンカー飛び出し防止治具の提案・設置
FAQ
アンカーのり面の健全性調査についてのよくあるご質問
- 1.アンカー健全性調査からなにがわかるのですか。
- アンカーのり面の健全性調査(現状調査)は、アンカーのり面の安定性の評価を主眼としており、アンカーの緊張力の分布確認と既存資料調査,現地踏査およびアンカー材料確認の結果を踏まえ、のり面の健全性について総合的に判定を行います。判定の結果、アンカーのり面が健全と判断された場合は、調査結果を保存して定期点検による経過観察を継続します。一方,アンカーのり面の健全性に問題または問題の可能性がある場合は、必要に応じた対策や、検討・対応に必要な健全性調査(詳細調査)を行います。
- 2.詳細調査はどんなことをするのですか。
- 詳細調査は、既往資料で十分な地質調査資料やアンカー資料が不足する場合や、進行性の斜面で背後斜面の変動とアンカー緊張力の経時変化の関係を把握する必要がある場合等に実施します。全アンカー本数の1/4〜1/2程度を目安とした調査本数について、リフトオフ試験を実施してアンカーのり面の緊張力の面的分布を把握します。この結果を基に、のり面の健全性評価や対策等の必要性についての判定を行います。
- 3.アンカー健全性評価の費用はどれくらいですか。
- 合同会社アンカーアセットマネジメント研究会のHPに掲載の積算資料をご参照下さい。
実績
年度 | カテゴリー | 発注者 | 業務名 | 施工場所 |
---|---|---|---|---|
2019 | のり面の健全性評価 | 三重県伊勢建設事務所 | 伊勢南島線(栗原)災害防除(変位観測)業務委託 | 三重県 |
2018 | 維持管理手法の提案 | 三重県松阪建設事務所 | 一般国道422号災害防除施設(地質調査)業務委託 | 三重県 |